ブラウン管テレビに囲まれる「モニタールーム」を作る|近未来・サイバーなコスプレ&MV撮影|GRID SPACE 旗の台
「たくさんのモニターに囲まれたい!」を実際の撮影空間に

たくさんのモニターに囲まれた、薄暗い部屋。
画面には同じ映像がいくつも映し出されていたり、監視カメラの映像が並んでいたり。
映画やアニメが好きな方なら、一度はそんな空間を見たことがあるのではないでしょうか。
「司令室」「監視室」「研究施設」「秘密基地」「ハッカーの部屋」。
作品によって設定は違いますが、たくさんのモニターが並んでいるだけで、そこに何か普通ではないことが起きているように見える。
個人的にも、昔からこの表現がとても好きでした。
映画で思い浮かぶのは『未来世紀ブラジル』の、機械やモニターに囲まれた少し歪んだ未来世界。
あるいは『マトリックス リローデッド』に登場するアーキテクトの部屋。人物を取り囲むように大量のモニターが並んだあの空間は、今見ても強烈な印象があります。
アニメなら『攻殻機動隊』のような電脳社会の空気や、『STEINS;GATE』のように古い機械とテクノロジーが同居している世界にも惹かれます。
不思議なのは、描かれているのは「未来」なのに、そこに登場する機械が必ずしも新しく見える必要はないことです。
むしろ個人的には、薄くて整った現代のディスプレイよりも、分厚い筐体、曲面の画面、物理ボタン、むき出しのケーブル、ラックに積まれたブラウン管テレビの方が、SFらしい異物感を感じることがあります。
GRID SPACE 旗の台でブラウン管テレビを集め続けている理由も、そこにあります。
ただ「昔のテレビだから懐かしい」というだけではなく、
古い機械なのに、組み方によって未来に見える。
その少し矛盾した感じが、ブラウン管テレビの面白さだと考えています。
気がつけば、ブラウン管テレビは27台になりました
GRID SPACE 旗の台では現在、業務用ビデオモニターを含めて27台のブラウン管テレビを用意しています。
最初から27台あったわけではありません。スタジオ開始時はまだ台数が少なかったです。
実際の撮影での使われ方や、ロケハンでいただく「このテレビをこちらへ移動できますか?」といった声を参考にしながら少しずつ追加し、ラックや配置方法も変更してきました。
現在は、複数台のブラウン管テレビをまとめたラックを中心に構成しています。
ブラウン管テレビを27台まで増やした経緯や、ラックを移動しやすい構成にしている理由については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
そして、このブラウン管テレビラックを移動して組み直すことで作れるのが、今回紹介する「モニタールーム」セッティングです。
通常のGRID SPACEとは、かなり印象の違う空間になります。
ブラウン管テレビに「囲まれる」モニタールーム
今回のセッティングでは、一番幅の狭い縦型ラックをセンターに配置。
その左右へ大型のブラウン管テレビラックを移動させ、人物を包み込むような形にしています。

ポイントは、ブラウン管テレビを一枚の「背景」として後ろに置くだけではなく、人物の左右までモニターが回り込んでくる状態を作ることです。
そうすると、カメラから見たときに人物の背後だけでなく画面の左右にもブラウン管テレビが入り、まるでモニターの中に人物が入り込んでいるような密度が生まれます。
実際に動画にすると、このような雰囲気になります。
※動画内で使用しているサイバーヘルメットは撮影用に制作したもので、現在貸し出しは行っておりません。
コスプレなら、キャラクターの「いる場所」まで作ってみる
このモニタールームは、特に近未来・SF・サイバー系のコスプレ撮影との相性が良さそうです。

例えば、監視システムを操作している人物。
秘密組織のオペレーター。
研究施設にいる科学者。
ハッカーやエンジニア。
アンドロイドを管理する施設。
あるいは、何者かに監視されている人物。
衣装だけで作品の世界観を表現するのではなく、「そのキャラクターがどんな場所にいるのか」まで画面の中に作ることができます。
ブラウン管テレビへ流す映像も変更できるので、キャラクターや作品の世界観に合わせた映像を用意すると、さらに作り込みやすくなると思います。
すべてのブラウン管テレビへ同じ映像を流す。
ラックごとに違う映像を流す。
ノイズやグラフィックだけを表示する。
「モニタールーム」というセットを完成形として使うのではなく、そこから作品に合わせてさらに変えていくためのベースとして使っていただけたらと思います。
MVなら「演奏する背景」ではなく、ひとつのシーンとして

MV撮影では、さらに違った使い方もできそうです。
例えばボーカルをモニターの中央に立たせ、周囲のブラウン管テレビへ本人の映像を表示する。
歌詞やタイポグラフィ、グラフィック、ノイズ、監視カメラ風の映像などを流す。
あるいは曲のAメロでは通常のGRID SPACEを使い、サビになった瞬間だけモニタールームへ切り替える。
照明やブラウン管テレビの映像を曲のパートごとに変えるだけでも、同じ撮影スタジオの中でかなり画変わりを作ることができます。
ブラウン管テレビを単なる背景として置くのではなく、「何を映すか」まで含めて美術セットの一部として考えられるのが、このモニタールームの面白いところです。
複数のブラウン管テレビに同じ映像を流す
今回の作例では、複数のブラウン管テレビに同じ映像を表示しています。
「これだけブラウン管テレビがあると、それぞれに映像を入れるのが大変そう」と思われるかもしれません。
GRID SPACEでは映像分配器を使用して、1台のパソコンから複数のブラウン管テレビへ映像を送れるようにしています。
接続方法については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
流す映像によって、同じモニタールームでも印象はかなり変わります。
作品用に制作した映像だけではなく、ノイズ、グラフィック、タイポグラフィ、人物映像など、撮影内容に合わせて試していただければと思います。
ビデオカメラを使って、演者をブラウン管テレビへリアルタイム投影

ブラウン管テレビに流せるのは、あらかじめ用意した映像だけではありません。
GRID SPACE 旗の台では、ブラウン管テレビへの映像出力に使用できるビデオカメラも複数台用意しています。

ビデオカメラで撮影している映像をそのままブラウン管テレビへ送ることで、撮影中の演者をリアルタイムでモニターの中に登場させることもできます。
例えば、メインカメラでは正面から演者を撮影。
その一方で、別のビデオカメラを演者の横や斜め後ろに設置します。
するとメインカメラの画面には、
目の前にいる演者と、別アングルから撮影された演者が映るブラウン管テレビ。
その両方を同時に存在させることができます。
正面から見えている人物。
横顔を映しているモニター。
手元だけを映しているモニター。
少しローアングルから撮った映像。
同じ人物でもビデオカメラの位置を変えることで、ひとつの画面の中に複数の視点を同時に存在させることができます。
MVなら、演者本人の映像をリアルタイムで大量のブラウン管テレビへ表示する。
コスプレ撮影なら、監視カメラがキャラクターを捉えているような画を作る。
あるいは顔ではなく、手元や足元など一部分だけを別アングルから映してみる。
あらかじめ映像素材を制作して持ち込まなくても、その場でビデオカメラを接続して映像演出を作れるのもリアルタイム投影の面白いところです。
ブラウン管テレビを単なる背景として使うのではなく、撮影している人物そのものを背景の一部にしてしまう。
今回のモニタールームを使う際には、ぜひ試していただきたい撮影方法のひとつです。
3.3mの天井高を活かして、トップライトを入れる
モニタールームを組んだら、照明も少し工夫するとさらに雰囲気が変わります。
GRID SPACE 旗の台は、天井高が約3.3mあります。
今回の作例では、無料貸出機材のamaran F22cを上部から当て、トップライトとして使用しています。

正面から全体を明るくするというより、人物の頭や肩などに光を入れることで、ブラウン管テレビの光を残した少し暗めの空間でも人物の輪郭を出しやすくなります。
amaran F22cをトップライトとして使う方法については、こちらの記事でも紹介しています。
さらに演出用のPavoTubeも用意しています。
ブルー、グリーン、マゼンタなど、作品のイメージに合わせて色を加えることで、同じモニタールームでも印象を変えることができます。
引き画だけではなく、50mmレンズで撮ってみる
このセットは、広角でモニタールーム全体を見せる引き画でも迫力があります。
ただ、個人的に試してみて面白かったのが、50mmレンズで寄った画です。

画角を狭くすると、左右に配置したブラウン管テレビ同士の間隔が圧縮され、画面の中が一気にモニターで埋まります。
実際のスタジオ空間以上に「大量のモニターに囲まれている」ように見せやすくなるので、人物を中心にしたコスプレ撮影や、MVのバストショットなどではこちらも試していただきたい撮り方です。
広角で空間そのものを見せる。
50mm前後でブラウン管テレビの密度を上げる。
同じセットでも、レンズやカメラ位置によってかなり違う画が作れると思います。
【重要】ブラウン管テレビラックを移動するときの注意点
今回のモニタールームは、ブラウン管テレビラックを移動することで作ることができます。
ただし、移動前に必ず確認していただきたいことがあります。

GRID SPACE 旗の台では、ブラウン管テレビをA・B・C・Dの4グループに分けて設置しています。※2026年9月現在
ブラウン管テレビラックをA〜Dのグループの並びは崩さずに動かす場合は
21インチのブラウン管テレビに接続されている電源ケーブル・映像ケーブルを外してください。
※21インチのブラウン管テレビはBグループの下部2台とDグループの手前1台です。
この順番でセッティングをお願いします。
1. 一度21インチのブラウン管テレビの電源ケーブル・映像ケーブルを外す。
2. ラックを移動する。
3. 撮影する位置を決める。
4. その後、改めて電源ケーブル・映像ケーブルを接続する。
ケーブルを接続したままラックを動かすと、キャスターへケーブルを巻き込んだり、ケーブルや端子を破損したりする可能性があります。
ブラウン管テレビラックのA〜Dのグループも崩してセッティングをする場合は
一度すべての電源ケーブル・映像ケーブルを外してから、上記の順番でセッティングをお願いいたします。
GRID SPACE旗の台は無人運営のスタジオで当日サポートはないため
ご不明な点があれば事前にロケハンにお越しいただきご相談ください。
※ロケハンは平日の13:00〜16:00スタートで事前予約にて1回30分無料でご案内可能です。
ブラウン管テレビを移動して使う際の注意点については、こちらの記事でも紹介しています。
昔のブラウン管テレビで、「まだ見たことのない未来」を作る

GRID SPACE 旗の台には現在、27台のブラウン管テレビがあります。
でも、27台をただ並べているだけでは、撮れる画もひとつになってしまいます。
だからラックを動かせるようにする。
流す映像を変えられるようにする。
ビデオカメラを接続して、リアルタイムの映像も表示できるようにする。
照明や小物も組み合わせられるようにする。
今回のモニタールームも、そんな使い方のひとつです。
昔のSF映画やアニメを見て感じた、「こんな場所に入ってみたい」という感覚。
その記憶をそのまま再現するのではなく、そこからさらに衣装や映像、照明、カメラワークを加えて、撮影する方それぞれの世界を作ってもらえたらと思っています。
古いブラウン管テレビなのに、組み方次第では未来に見える。
個人的には、その矛盾した感じが今でもブラウン管テレビに惹かれる理由のひとつです。
近未来、SF、サイバー、監視室、研究施設、秘密基地。
コスプレでも、MVでも、アーティスト撮影でも。
「大量のモニターに囲まれた画を、一度撮ってみたかった」
そんな方に、このモニタールームセットをひとつの撮影アイデアとして試していただけたら嬉しいです。